ティダぬファ~『WATARU』

毎日が旅だったらいいのに…

苦役を強いられた囚人たち

2019.6.20    10:30

 

「博物館  網走監獄」の続き…

 

この野外歴史博物館は

本当に見応えのある施設です。

 

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これは

現在の囚人が生活をする

大部屋の様子の展示。

 

そして…

共同生活を許されない

悪ガキの2人は独房です(^_^.)

 

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故郷の母へ

手紙をしたためるゴリ…(笑)

 

 

「8131番! メシだ!!」

「ハイッ、ありがとうございます!」

 

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現在の刑務所内の食事は

明治時代の頃のソレとは

比にならぬほどの献立だった…。

 

因みに…

8131という数字は

沖縄好きの俺なので…

島の挨拶言葉である

「ハイサイ」から付けました(笑)

 

 

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(笑)(笑)(笑)

 

 

囚人服を着てみたり、

明治の監獄当時に

逃走を阻止するために使用された

鉄の玉を足に巻いてみるなど…

いくつかの体験も出来ます。

 

 

そして、

模範的な

償いの日々を送るゴリぞうは…

 

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炊事班に割り当てられていた(笑)

 

 

所内には

「講堂」もあり…

 

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講義の最中に

ゴリぞうと姫神

囚徒仲間と慰め合っておる…(^_^.)

 

 

…おふざけはここまでにして、

 

明治維新

鎖国を解き、

近代国家への脱皮を目指し邁進する

明治新政府にとって

切実な問題があった。

 

北海道がロシア帝国の脅威に

さらされていること…

 

ロシア帝国の南下政策に

危機感は強く、

北の防備を固めるために

開拓を推進することを

新政府は急務としていた。

 

厳しい自然環境である北海道で

未開の地を切り開くには

とんでもない労力と

時間が必要になる…

 

新政府はこの事態に対して

ある政策を打ち出した。

 

屯田兵」「植民」「囚人」

による開拓を進め、

北海道をロシア帝国から護る…

というものだった。

 

開拓の先兵として注目されたのは

当時膨大な数に膨れ上がっていた

長期重罪囚たち…。

 

『元々彼らは暴戻の悪徒であり

 尋常の工夫では耐えられぬ苦役に充て

 これにより斃れても

 監獄費の支出が減るわけで

 万やむを得ざるなり』

 

…この発想は、

太政官(だじょうかん)

(※当時の最高行政機関)

に在籍していた人物が

囚人の苦役論を謳ったもの。

 

この発想から

廉価な労働力で北海道開拓を進め、

刑を終了した囚人たちが

開拓した地に住み着くことで

北海道の人工増加を促進する…

 

 

こうして北海道に

5か所の分館を持ち、

そのうちの一つである網走に

1200人の囚徒が移動させられた。

 

これが

網走監獄の始まりだったという。

 

囚徒たちに与えられた工事は

北海道を横断する

中央道路を造ることだった。

 

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(※昨年の画像)

 

山は野原だった場所を

重機も無く人の手で切り開く…

 

過酷な突貫工事に

食糧や栄養不足、

劣悪な衛星環境が

囚徒たちの命を奪い、

 

囚徒211人、

現場の看守にまでも

犠牲をだした。

 

網走監獄の囚徒たちは、

網走から北見峠までの

162.7㌔

という長さの中央道路を開削。

 

13の工区を

4班に分けた囚徒200人ずつに

競争をさせた結果…

 

1区画12㌔の距離を

わずか1か月以内で完成させる

驚異的な速度で道が造られていった。

 

(※昨年のブログ記事より)

 

 

当時の太政官の発想は

その時代にとって適当な判断であり、

一般に暮らす庶民からしたら

真っ当な考え方だっただろう。

 

極悪な犯罪を犯した重罪囚であっても

今のこの時代では

被害に遭われた人やその家族よりも

もしかしたら安定した日々を送り、

刑期を終えれば

漂々と世の中に戻って行くのだろう。

 

『人権』

…ってものが

いかなる場合でも護られる今…

 

この網走監獄の展示物を観て

当時の様子を知ると、

今と昔と

何が正解で何が不正解なのかが

解らなくなる自分がいる。

 

色々と

考えさせられる場所です。

 

 

☆☆ チュプカムイの航路より ☆☆