ティダぬファ~『WATARU』

毎日が旅だったらいいのに…

最古の石獅子は「悪霊」を喰う

『沖縄のムンヌキムン』vol.5
 
「フーチゲージ(邪気祓い)」…
「沖縄といえば屋根獅子」…
 
そんな印象だけしか知らなかった
沖縄家屋の門や屋根に鎮座する
知る人ぞ知る「シーサー」
 
これもムンヌキムンの1つ。
 
コンクリート建築が主流になり
屋根獅子が減ってきた現在では、
 
門口の両側に
「ア・ウン(阿吽)」を表現した
一対の獅子像が増えてきた。
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笑顔の獅子像、寝そべった獅子像、
楽器を弾いている獅子像…
様々なシーサーを見る今日。
 
昔、沖縄の村々に置かれた石獅子は
自然石を荒削りしたためか、
表情は豊かではない。
 
 
しかしまぁ…
沖縄の先人達は
驚くほどに自然石(岩石)に
深い信仰を捧げてきたのだなぁ~。
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「霊石と言われるビジュル」
「台所の隅に祀られるヒヌカン(火の神)」
「ヒンプン」や「石厳當」
「ウコール(香炉)」なんかも
本来は石造りであったものばかり。
 
沖縄の人々にとって
自然石は神秘的なものだったのかな?
 
 
村々で
獅子像が置かれる先駆けとなった
「富盛の大彫石獅子」
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1680年代に制作されたもの。
 
沖縄では
ヒィーザンと呼ばれる山や丘がある。
 
ヒィーザンから
火の玉が飛び散って災難を引き起こす…
と、信じられてきた。
 
現在でも
当時の備えの名残を残す
防火のための池もある。
 
火災が頻繁に起こっていた
八重瀬町周辺…
 
当時、
フンシンミー(風水をみる人)に
村のフンシー(風水看)をみてもらった…
 
獅子を作って
八重瀬岳へ向けて設置すれば
火災から免れる…
ということだったという。
 
それで設置された
沖縄最古の石獅子が
「富盛(ともり)の石彫大獅子」
 
結果…
ヒィーザンからの災難を
防ぐことができたという。
 
「ヒーゲージ(火伏せ)」として
設置された石獅子…
 
本当は
火山の火の玉が飛んだわけでもなく、
誰かが放火したのでもなく、
 
「ヒーダマ」といわれる死霊が
村に災難をもたらした…
とされている。
 
石獅子が口を開けているのは
「獅子が火を喰う」
と信じられてきたのが由来かな?
 
「ヒーダマ」とは
火事を起こす女の死霊、
あるいは
焼死した女性の化身だとされていて
火事をおこすことに専念する悪霊。
 
石獅子が口を開けているのは
この悪霊の火玉を喰い、
村を守ってくれている…
ということなのね。
 
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現在、この獅子像には
無数の弾痕の痕があるという。
 
激しかった地上戦で銃弾を浴びても
しっかりと今に残る最古のシーサー。
 
この石獅子…
この石獅子に会いに
度々訪れる友人がいるんです!
 
最初は
「沖縄最古のシーサー」としか
知らなかった俺は、
沖縄が好きになり過ぎて
ここまで学びました(*^。^*)
 
今ではその友人に
きっかけをくれた1人として
感謝しています。
 
 
他の地の村の石獅子…
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「安里(あさと)の石獅子」
 
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「新城(あらぐすく)の東の石獅子」
 
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「志多伯(したはく)の西の石獅子」
 
本来口を大きく開いていたであろう
これらの村の石獅子たちは
長い年月の経過のためか…
もともとなのか…
 
何も知らない人にとっては
ただの石に見えてしまうだろうな。
 
☆☆ 海亀好きの航路より ☆☆